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お仏壇の中の掛軸-これはどなた? 

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お仏壇のご用意でご来店されるお客様より、よくいただくご質問のひとつが 

「宗派によって仏壇や仏具の選び方は変わりますか?」 

というものです。 

もちろん、一部宗派専用のお仏具があるほか、伝統型仏壇は宗派によってお仏壇本体の選び方もございます。

ただ、家具調のモダン仏壇はどのご宗派でもお選びいただけますし、お仏壇の小型化によって仏具も省略されるものが増えてきました。 

しかし唯一、伝統型もモダン型も「お仏壇」であれば、必ず各宗派で専用のものがございます。 

それが「ご本尊仏と脇軸」です。 

ご宗派別のご本尊仏、脇軸 

宗派
本尊(中央) 
左脇軸(向かって右)
右脇軸(向かって左)
天台宗座阿弥陀如来
または釈迦如来 
天台大師 伝教大師 最澄 
真言宗大日如来 弘法大師 空海 不動明王 
または興教大師 覚鑁(かくばん) 
曹洞宗釈迦如来 承陽大師 道元 常済大師 螢山 
臨済宗妙心寺派釈迦如来 無相国師 花園法皇 
日蓮宗曼荼羅 鬼子母神 大黒天 
浄土宗阿弥陀如来 善導大師 法然上人 
浄土真宗本願寺派阿弥陀如来 親鸞聖人 蓮如上人 
浄土真宗大谷派阿弥陀如来 十字名号 九字名号 
(主なご宗派ごとのご本尊・脇軸の一覧表)

現在、日本で主要な仏教八宗を表記しています。 

※その他ご宗派のご本尊仏、脇軸もご用意可能でございます。まずはお気軽にお問い合わせください。 

また、ご本尊や脇掛軸は掛軸だけでなく木製のお仏像や自立型のスタンド掛軸などもご用意可能です!

お仏像は素材の木の種類や色が入っているかで、掛軸は表装の布地や背景色で、全く印象が変わってきます。

下記のページから、それぞれ他のお姿もご確認いただけます!

ご本尊仏 

一言に「仏教」と言っても、根本とする経典によって考え方が異なるために、宗派が分かれています。
ご本尊の違いは、それぞれの宗派にとって一番大切な方であり、そのご宗派の目指す「浄土」の違いでもあるようです。 

仏教では「十方浄土」と言って、仏様の住まう世界の十方(東・西・南・北・東南・西南・東北・西北・上・下の方向のこと )に浄土が存在し、そこは悪逆がないため苦しみもない清らかな場所であるとされます。
耳にすることの多い「極楽浄土」は、阿弥陀如来のおわす浄土ということで浄土宗や浄土真宗のご本尊なのです。 

日蓮宗「曼荼羅」

やや異彩を放っているのは日蓮宗の「曼荼羅」です。 

曼荼羅

お仏壇においては、曼荼羅の描かれた掛軸を飾った手前に日蓮聖人の像をご安置することもございます。 

また「曼荼羅」を文字として読んでみると、中央に法華経の首題「南無妙法蓮華経」があり、その周りを囲うように様々な仏様や菩薩様の名前が書かれています。
日蓮聖人が檀家の方に法華経の教えを説く際に書いたものが元となっており、最初期は中央の首題と愛染明王・不動明王を表す梵字のみが描かれていたとのことです。 

よくよく見ると中央下部には「日蓮聖人自身の名前と花押」で署名がされています。 

左右の脇軸 

ご本尊様はお題目で「南無釈迦牟尼仏」「南無阿弥陀仏」とお名前を唱えるものも多いことから、馴染みもあります。 

そうなると次に気になるのは「ご本尊様の両脇にいるのは何者なのか?」というところではないでしょうか。 

天台宗、真言宗をはじめとして多くの宗派では 

  • 向かって右:その宗派の開祖や大元となる考えを説いた高祖 
  • 向かって左:日本における開祖や広く世に発展させた偉大な高僧 

となっています。 

なお、舞台における「上手(かみて)・下手(しもて)」や「右大臣・左大臣」の考え方が表す通り、日本古来は「左が上、右が下」の思想があり、お仏壇においても適用されています。ただ、この場合は「ご本尊様から見たときの左右」なので、お参りする方からみると左右は反転します。 

より古いご先祖様のお位牌、あるいは「先祖代々之霊位」のお位牌を向かって右奥に安置することが多いのも、同様の考え方です。 

聞いたことのある名前のお坊さんが並ぶなか、真言宗、臨済宗妙心寺派、日蓮宗、浄土真宗大谷派だけすこし様子が違っています。 

不動明王と興教大師で宗派が違う真言宗 

「弘法も筆の誤り」のことわざでも聞き馴染みのある弘法大師を向かって右に、ご本尊である大日如来の化身である不動明王を向かって左に飾ることがほとんどです。

ただし「真義真言宗」を源流とする「真言宗智山派」などでは、始祖である興教大師を向かって左にお飾りします。 

真言宗智山派など、真義真言宗

鎌倉時代の天皇が飾られている臨済宗妙心寺派 

臨済宗妙心寺派

臨済宗妙心寺派において花園法皇が向かって左に飾られるのは、大本山である妙心寺を開基したからです。 

花園法皇は譲位したのち、禅宗の修行に情熱を注いだ花園法皇は住んでいた離宮に無相国師(関山慧玄)を招き、禅寺にしました。これが妙心寺です。 

鬼子母神、大黒天と日蓮宗 

日蓮宗

日蓮宗においては「法華経」の守護神として、日蓮聖人が重要視した鬼子母神と大黒天を配置しています。 

お寺様のお考えによっては、曼荼羅のみを飾り、両脇は飾らないこともございます。 

お姿ではなく文字が描かれている浄土真宗大谷派 

浄土真宗大谷派

浄土真宗大谷派は他のご宗派と少し異なり、ご本尊様はお姿の絵ですが、両脇は文字の書かれた掛軸です。これはすべてご本尊様である阿弥陀如来の名号(お名前)を表しています。

阿弥陀如来には別称が山ほどあるらしいのですが、特に 

  • 四文字で表すと「阿弥陀仏」 
  • 六文字で表すと「南無阿弥陀仏」 
  • 九文字で表すと「南無不可思議光如来」(なむふかしぎこうにょらい) 
  • 十文字で表すと「帰命尽十方無碍光如来」(きめいじんじっぽうむげこうにょらい) 

となるのです。 

こう漢字ばかり並べられると、名前と言われてもよくわかりませんね…。 

ここはせっかくなので、単語ごとに見てみましょう。 

「帰命尽十方無碍光如来」

  • 「南無(なむ)」 

 =帰依、信仰。サンスクリット語で、仏様に敬意を表す語の音に漢字を充てたもの。 

  • 「阿弥陀(あみだ)」 

 =サンスクリット語で「無量寿」「無量光」を表す言葉の音に漢字を充てた言葉。 
  無量は「無限」、寿は「寿命」、光は仏の智慧や慈悲の象徴。
  つまり「無限の寿命」「無限の光明」のこと。
  また「無量寿仏」「無量光仏」は阿弥陀仏の異名。 

  • 「佛/仏」  

 =仏様。悟りを開いた者。

  • 「不可思議(ふかしぎ)」 

 =不思議。仏様の智慧や法力など、人の言語・思慮の及ばない境地のこと。 

  • 「光」 

 =光明。仏様の智慧や慈悲、救済の象徴。 

  • 「帰命(きめい)」 

 =「南無」と同じ語の語意を漢字に表したもの。 
  「お任せします」といったような、仏様に敬意を表する言葉。 

  • 「尽十方(じんじっぽう)」 

 =全世界。十方(東・西・南・北・東南・西南・東北・西北・上・下の方向のこと)の残らずすべて。 

  • 「無碍(むげ)」 

 =「碍」とは障害、妨げのこと。それが無いので「一切の障害がないこと」 
  また「無碍光仏」は阿弥陀如来の異名のひとつ。 

  • 「如来(にょらい)」 

 =最高位の仏様の尊称。

とすれば十字名号「歸命盡十方无碍光如来(帰命尽十方無碍光如来)」をお名前としてとらえると、 

全世界どこのどなたであっても障りなくお救いして下さる、身をお任せできる有難い仏様」 

というような由来でしょうか。 

お仏壇の正面、中央左右の三か所すべてに阿弥陀如来を飾っているのは、浄土真宗大谷派だけです。阿弥陀如来を重要視しているのがよく伝わってきますね。 

   

ご自宅にお仏壇があるとしても、余程信心深い方やお仏事に詳しい方でなければ、まじまじと一番奥を覗き込むことはされないかもしれません。 

ただ、お仏壇の内部はご先祖様の向かった極楽浄土を表現した空間です。 

興味を持ってのぞき込むキッカケになれば幸いです。 

「うちはどのご宗派なんだろう?」 

「これは何に使う道具だろう?」 

という疑問があれば、是非誠心堂にご相談下さい! 

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