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唐木仏壇―なにを「練」っているの?

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前回のコラムでご紹介した通り、昨今のトレンドは「モダン仏壇(家具調仏壇)」です。

が、もちろん「お仏壇」と聞けば、伝統型のお仏壇を思い浮かべる方も少なくないはず。

伝統型仏壇は大きく、「金仏壇」と「唐木仏壇」に分かれます。

このふたつも、ご宗派や地域差があり更に細分化されていきます。

伝統工芸品でもあるお仏壇は、日本各地で生産されています。

金仏壇は山形県から鹿児島県まで様々な産地があり、特に信仰心の強い地域での生産が活発です。
京都や滋賀はもちろんながら、金沢や三河なども現在も名高い金仏壇の産地で、過去には大きな一向一揆が起こったほど信仰心の強い地域ですね。

唐木仏壇は徳島や名古屋での生産が多くを占めています。

それぞれの地域で少しずつ形が違っていますが、その中でも「沖縄仏壇」は他の地域とはすこし異なる独特なお仏壇の形をしています。

今回は「唐木仏壇」に着目してみましょう。

そもそも「唐木」ってなんだろう

そもそも「唐木」とは、その名前の示す通り「唐(中国)からきた木」のこと。

紫檀、欅、黒檀で作られたお仏壇

どの種類の木を指すというよりも、「紫檀」「黒檀」「鉄刀木(タガヤサン)」「白檀」「伽羅(キャラ)」など日本に原産しない木全体のことを「唐木」と言い示したようです。

「白檀」「伽羅」「沈香(ジンコウ)」などは香木として現在も有名です。
耐久性・寸法安定性が高く硬質で杢目の美しい「黒檀」「紫檀」などが工芸品の製造に使われ、やがてお仏壇の主材料となりました。

現在では伝統型で表面材の木材を活かしたものを「唐木仏壇」と呼ぶことが多いです。

お仏壇でよく使われるのは、黒檀、紫檀、鉄刀木、欅(ケヤキ)、花梨、黄王檀、シャム柿など。

以前は桑や槐(エンジュ)、屋久杉なども使われていましたが、資源の枯渇からあまり使われなくなりました。

全体的な形もそうですが、使われている材料もモダン仏壇とは大きく異なりますね。

なにを「練」っているの?

昔からのお仏壇のカタログを見ていると「練り」という言葉が登場します。

木材の無垢板を厚さ5~7mmに加工したものを「練り材」と呼び、これを芯材(いわば骨組み)に隙間なく剥がれ落ちないよう貼り付けるのが「練り工法」です。

唐木仏壇の中でも、比較的手頃な50万円前後のものもあれば、100万円を超えるものまで様々ですが、その違いのひとつがこの「練り工法」の度合いです。

現在は誠心堂のカタログでも、すべて「貼り」という言葉に置き換わっていますが、これは「練り材(無垢材)の使用度」を表しています。

どの程度貼り付けているかにより、お仏壇としてのグレードが変わってくるのです。

よりグレードの高い仕上がりのものから順に、以下のようになります。

・「総無垢」 無垢材をスライスせず、そのまま使用

・「四方練り」 4方向すべてに練り材を使用

・「三方練り」 3方向に練り材を使用

・「二方練り」 向かい合わせの2方向に練り材を使用

・「前練り」 1方向のみに練り材を使用

――ここから上までが練り材を使ったもの――

・「突板貼り」 厚板(厚み3mm以上)や薄板(厚み3mm以下)を貼ったもの

・「木目調プリント」 芯材に木目のプリントがされたシートや紙を表貼り付けたもの

練りの側面写真(左上から無垢、四方、三方、二方、前練り、下段がプリント調)
プリント調は側面から見ると、ほぼ芯材しか見えない。

当然ながら、練り材が多く使われているほど重厚で、欄間(お仏壇の間口天井の装飾)や屋根(ご本尊様を納めるところの上部)、障子戸などの装飾も格調高く凝ったものになっていきます。

グレードが上がるほど、お仏壇としての強度も上がっていきますが、逆に「総無垢」だと湿気・乾燥で歪んでしまうことも……しっかりとしたお手入れが大切です。

左「プリント調(紫檀調)」、右「四方練り」。四方練りの方が装飾が多く、豪華で緻密。

なかなかお仏壇内部…覗き込まないと見えないような、欄間の後ろの空間などは見る機会がないかもしれません。

細部まで緻密に作り上げているものほど、より工芸品としても価値の高いお仏壇です。

近年の伝統型仏壇には、内部はスタンダードながら背板や障子戸に蒔絵が入った華やかなタイプのものもございます。

障子戸・背板に山吹の蒔絵が入った仏壇

ぜひお家のお仏壇や、誠心堂に展示のお仏壇を覗き込んでみてください。

おまけ:この丸はなんだろう?

お仏壇の上部・欄間の中心に取り付けてある

伝統型仏壇には必ずと言っていいほど登場する、欄間の中心に飾られた「丸い木製部品」。

裏側はネジ式で、外せるようになっています。

せっかくなので問題です!
この丸い部品は一体なんのためにあるのでしょうか?

  1. 太陽を表している
  2. 仏教における円相を表している
  3. 家紋を入れるところ

答えは……

「紋座(もんざ)」という「3. 家紋を入れるところ」です!

上の写真のように、まっさらにしてあるお家も少なくないかもしれません。

職人さんの手描き・彫りにて家紋をお入れすることが可能ですので、ご検討の際にはぜひ誠心堂へご相談ください!
(2~3週間ほどお時間を頂く場合がございます)

お店で見るときどうしたら分かるの?

木目調プリントは安価に生産でき、木目も個体差が出ないので利点も多いですが、やはり唐木仏壇をお選びになるお客様は「練り」や「産地」をお気にされることが多いですね。

見た目で判断するのが難しい場合もありますが、誠心堂では「仏壇公正取引協議会」の規定に基づき、わかりやすくカタログ・ホームページ・店舗にて各お仏壇の品質表示を掲載しております。

お参りスタイルの変化が訪れている時代ですが、現在、伝統型仏壇を守っている方はそのお仏壇を選んだご先祖様のお気持ちを感じ取ってみてください。

誠心堂ではお仏壇のお買い替えはもちろんながら、伝統型仏壇のクリーニング(洗濯・修理・補修のこと)も承っております。

全体の修理から障子の張替えまで、状態によって参りますので、まずはご相談ください。

店舗へのご来店が難しい方、遠方にお住いの方に便利なオンライン相談も受付中です。

お気軽にお問い合わせくださいませ。

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